クレー射撃上達虎の巻《高級銃は当たるのか?》


曖昧な答え方をすれば、“YES”でもあり“NO”でもあるでしょう。

およそ工業製品として売られている銃で価格によって、

当たる、当らないは無いと思います。


では価格の高い銃と安い銃の違いはといえば、

木部の材質、彫刻、あるいは象嵌の有無といった、

美術的な価値を別にすれば、どこにあるのでしょう?


入念な摺合せは滑らかな作動を約束してくれるでしょうし、

反動を軽減してくれます、

また耐久性も優れています。


良く調整された引き金は“キレのよさ”を味あわせてくれます。

バランスの良さは“気持ちよく撃てる”ことにつながるでしょう。


ただし、これらは射手にそれなりの技量があってこそ

生きてくるものだと思います。


つまり高級銃だから当たるのではなく、

その銃によって、撃つ人の技量が如何なく発揮されるということでしょう。


数百万の銃を初心者に撃たせても結果は推して知るべしです。




それよりも、正しいフォームを作るために、

銃が射手に“適合しているか”を問題にすべきだと思います。


時折、初心者の方に「正しい構え方は?」と聞かれることがありますが、

銃を見せてもらい、その諸元がその人の体形から著しくかけ離れている場合は、

(詳細な部分は別として)

「残念ながら、今のままでは正しい構え方はムリです」と言います。


例えば、小柄な射手が銃砲店から買ってきたままの銃床で

正しく構えられる訳がないのです。


メーカーが送り出している銃床のサイズは、

ぶら下がりのスーツでいえば、LからLLサイズです。


マニュアルには書いていませんが、

銃床の寸法は大き目に作ってありますので、

あなたの体形に合わせて使って下さい」と言っているのです。


顔が傾き、顎が飛び出し、グリップと頬付けの位置がとんでもなく離れていると指摘しても、

それを矯正することは物理的に不可能なのです。


それを無理に体を銃に合わせようとすると、あとは泥沼です。

どんなに、数を撃っても、時間(お金)をかけても徒労に終わります。


若し、あなたが小柄であって、銃砲店で気に入った銃を求めようとした時、

即座に「お買い上げ有難うございました」という銃砲店は要注意です。


最低限でも銃床の長さと、できればベンドの高さについて、

アドバイスをしてくれる銃砲店を選ぶべきでしょう。

ベンドについては後述)

10万円で購入し(機能的に問題の無いことが条件)

5万円をかけて、銃床の長さ、ベンド、を身体に合わせた15万

円の中古銃は、

体形に合わない数百万円の銃よりも間違いなく当たります。



最近、銃床長さ、ベンドの高低、ピッチダウン、

引き金の位置、はてはリブの高低(傾き)まで調整できるものがあります、

選択肢のひとつとして有効かもしれません。

ただし、あまりに微に入り細にわたる調整は、

技量が伴わないうちは考えものです。

ともすれば、失中の原因を自分ではなく、

それに求めがちになるからです。


かつて自分も「これはイイ」と引き金位置が調整できる銃を求め、

失中のたびに位置を変え、パニックになった経験があります。


技量が上達し、それを生かしきれる高級銃を手にしたとき、

「鬼に金棒」


因みに四半世紀以上使っている私の銃は、

国産の、シリーズの中で最も“安価”なグレードです。