☆死んだあとも雷に愛された男☆





八っつぁん 「おう、クマ公、最近やけに天候が荒れてるじゃねぇか、

       一日でひと月分の大雨が降っちまって、大規模な土石流だの、

       土砂崩れだの、おまけに、とんでもねぇ大風が吹くとか」



クマさん  「そればかりじゃねぇ、カミナリもひでぇモンだ、このまえも、

       野球をやっていたピッチャーにカミナリが落ちて、気の毒に

       亡くなっちまったんだとよ」


御隠居さん 「カミナリと言えば、おまえさん達、

       とことんカミナリに好かれた男の話を知っとるか」



八っつぁん 「おうおう、どんな話だい、早く聞かせろい」


御隠居さん 「アメリカのバージニア州というところに、

       シュナンドウ国立公園がある、そこの警備員をしていた

       ロイ・C・サリバンさんという人の話じゃ

       その人は1942年、1969年、1970年、1972年

       つごう四回も落雷に遭いながらも奇跡的に命を取り留め

       ギネスブックに載ったそうじゃ、

       しかし、よっぽどカミナリに好かれたんじゃろうなぁ、

       その後も、1973年、1976年、1977年にも

       被雷し、それでも無事に生きておったそうじゃ」



クマさん   「まえに、ブラジャーにカミナリが落ちたってぇ人の

       話を聞いたことがあるが、たいていの人は一度で

       オシマイだってぇのによ」



御隠居さん  「これで驚いちゃいかん、

       落雷に遭って、

       “死んだあとも雷に愛された男”がおるんじゃ、


       陸軍少尉のサマーフォードさんという人は

       1930年に三度のカミナリに見舞われ、

       三度目にとうとう死んでしまった」



八っつぁん  「なんでぇ、三度ならサリバンさんのほうがスゴイじゃねえか」



御隠居さん  「まァまァ、話は最後まで聞きなさい、

        スゴイのは、この後の出来事じゃ、

        カミナリはこの人を、よほど好きだったんじゃろうなァ、


        1934年、なんと今度は

        サマーフォードさんの墓にカミナリが落ちたんじゃよ」


クマさん    「ストーカーみてえなカミナリだな、

        おちおち死んでもいられねぇってか」

 

     

御隠居さん   「それにしても、さっきのおまえさん達の話ではないが、

        たしかに最近の天候は異常じゃな、

        放射能汚染大気汚染熱帯雨林の伐採など、

        ワシらは地球をいじめ過ぎとるんじゃなかろうか、

        その地球の悲鳴が、地震や異常気象のように

        思えてならんのじゃよ」