泥棒に入られたら⇒警察!⇒税務署?





くまさん 「おぅ御隠居てぇへんだ、八五郎が泥棒にへえられたそうだ」


御隠居 「何かの間違いじゃないのか、八っつあんとこへ入っても


    盗むものなんかあるのかい」


くまさん 「あっしもハナはそう思ったんですよ、八五郎ンところには


     鍋釜のほかに盗む物なんざぁありゃしねぇ、逆に泥棒のほうで気の毒がって


     いくらか置いていこうってぇくらいだ、


     まてよ、カカァの腰巻でも盗られたか?」


御隠居 「バカなことを言ってるんじゃない」






御隠居 「八っつあん、災難だったなぁ、何を盗られたんだい」


八っつあん 「へぇ、暮れの払いのために貯めておいた金を、


      カカァと湯屋にいってるほんの一時の間に盗まれちまったんでさぁ、


      もうすぐ年が明けるってえのに餅を買う金も持ってかれちまった」
  

御隠居 「そりゃあ気の毒だ、正月の支度はワシやくまさんが


     町内のみんなに声をかけて何とかしようじゃないか、


     ところで警察には届けたんだろうね」


八っつあん 「勿論でさぁ、でもたとえ捕まっても金は使っちまって


     戻ってこねえかもしれねえって言ってました」


御隠居 「そうかもしれんなあ、


    それならいくらかでも税金を戻してもらおうじゃないか、


    もう少しで確定申告の時期じゃ、そうしたら、先ず警察に行って


    盗難の事実と損害額を証明してもらい税務署へ行くんじゃ」



くまさん 「おぅ御隠居、税務署が盗まれた金を返してくれるってのかい?」


御隠居 「いやいや、そうではない、確定申告をするんじゃ、

  
    これは雑損控除と呼ばれるもので厳密には損害額が


    一年の稼ぎの一割を超えた場合、


    その金額が稼ぎから差し引かれるということじゃよ、


    つまり税金が返ってくると言うわけじゃ」



八っつあん「へ〜、そんな法律があったなんて知りませんでした」


御隠居 「ついでに言えば、まァお前さんたちには関係ないが、


    別荘での盗難や、


    盗まれたものが宝石や貴金属、書画骨董などは認めてもらえん。


    それと最近地震が多いようだが、


    地震や火事の損害も控除の対象になるんじゃ」



くまさん 「ありがてぇ話じゃねぇか、おぅ八五郎


     これからは安心して泥棒に入られるんだな」


八っつあん 「冗談言っちゃいけねえ」