マジで作った“新兵器”


 ミサイル、核爆弾、ステルス爆撃機、さらにレーザー兵器

大義名分はどうあれ、人間を殺傷する兵器の開発は

とどまることを知りません。


その歴史のなかで今から七十年程前に、

当時としては最先端技術?を用いた新型兵器が考え出されました。


そのひとつはイギリスで考案された、

その名も対戦車用『くっつき爆弾!』


戦車めがけて手榴弾を投げても、せいぜい“近くで”爆発するだけで、

大きなダメージをあたえることができません。


「そんなら戦車に手榴弾がくっつけばよかんべ、

チョー強力な接着剤を手榴弾に塗って、敵戦車に投げつけるだよ、

そうすりゃなんぼ丈夫な戦車でも、ドテッ腹に風穴が開くに違えねえ」


この作戦が成功すれば敵戦車部隊は壊滅的な打撃をうける… ハズだった。


しかし試作品ができてみると(実際に作っちまったってぇのがスゴイ!)

戦車よりも先に、手について離れない、

「これは誰が、どうやって投げるんだべか」

てなワケであえなく、ボツ!



一方、ソ連では「イギリスに負けたらいかんぜよハラショー」

と、こちらも対戦車用の究極の爆弾を開発した。


まず、ワンコの背中に起爆装置の付いた爆弾を背負わせる、

次に戦車の底にワンコの好きなエサを張り付ける、

ワンコはエサの臭いを嗅ぎつけ敵戦車に一目散、

エサを食べている間に(実際にはエサを探している間に)爆弾が炸裂、

敵戦車部隊は壊滅となる。


名付けて『突撃犬爆弾


ワンコにとっては迷惑この上ない話です。



戦車 ⇒ エサ ⇒ 突撃

そうです“パブロフの犬”の条件反射を利用したものですネ。


来る日も来る日も、模擬爆弾を背負ったワンコ達の訓練が続きました。


そして、とうとう戦車を見つけると、

一目散にその底めがけて突進する見事な条件反射が身に付いたのです。


いよいよ実戦配備の日がやってきました。


敵戦車部隊と対峙したソ連戦車部隊!


その時、爆弾を背負ったワンコ達が放たれました。


パブロフの犬たちはエサを求めて敵戦車の底へまっしぐら、

のハズだったんです。


ところが、ここで大きな誤算が生じたのです。


来る日も来る日も訓練に使った戦車が自国(ソ連)の戦車だったので、

ワンコ達は皆、敵戦車ではなくソ連軍の戦車に向かってまっしぐら!

逃げ惑うソ連軍戦車。


犬を愚かと笑うなかれ!


いつになっても戦争をやめることのできない人間のほうが

よっぽど愚かですよネ。