ミーチャンとボッソリーノ その1

 


 S市に住むAさんは3匹のネコ達と暮らしている。

このネコ達は、

数度にわたり大病やケガを乗り越え、気丈に生きる彼女の

心の支えになっている。


 暮れも押し迫ったある日、近所のラーメン屋さんの

裏に一匹のネコが出没するようになった。

毛がボソボソなのでAさんがつけた名前が『ボッソリーノ』

どうやら帰る家が無い様子である。


ラーメン屋さんの好意で2,3日の間は駐車場の車の中で寒さをしのいだ。

だが12月のS市は寒さが厳しい。

そこで新しい御主人が見つかるまでAさんが世話をすることになった。

しばらくは5人家族になりそうである。

彼女は若し新しい御主人が見つからなかったら『ボッソリーノ』を

そのまま家族に迎えようと思った。

しかし、その『ボッソリーノ』がA家にやってくると、思いもかけない事態が

起こったのである。


 

2匹の“古参組”はボッソリーノを見ても、

おっとりと構えている。


「アンタ新入りかい、ここは結構居心地がいいぜ、よろしくな」


和やかな雰囲気の対面式である。

Aさんは一安心、と思いきや、事件が起きた。


いつもは尻尾を小刻みにふるわせ愛嬌をふりまく、ひょうきん者のミーチャンが

ボッソリーノをみるや、毛を逆立て、鼻にシワをよせて威嚇するのである。

A家に来てから始めて見せたミーチャンの姿である。


仕方なくボッソリーノを「新しい御主人が見つかるまでの辛抱だよ」と

普段は使っていない2階の部屋へ。


時折、面会に行きケージから出してやると、

いかにも“人恋しい”といった仕草で喉を鳴らしながらすりよってくる。

あきらかにノラネコではない。

猫一倍?甘えん坊である。


 汚れた毛玉だらけの“ボッソリーノ”を“サッパリーノ”にしようと、嫌がるのを覚悟でシ

ャワーで洗うことにした。

ところが、ナント、シャワーを浴びて気持ち良さそうにするのだ。

おまけにドライヤーの風をあてても悦に入った表情で、されるがままである。

私も何匹か猫を飼ったが、どの猫も体が水に濡れるのを嫌った。

ますます、ノラではなくむしろ“ハイソサエティ”で飼われていた感を強くする。


 
  …続く…

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