クレー射撃上達虎の巻  《 試合中の食事 》

 



 S市の郊外に後輩A君御贔屓の《蕎麦屋K》があった。


建物は繁華な道路に面してはいるのだが、

店の顔、つまり入口は裏側なのだ。

何とも商売っ気のないつくりである。



A君が大会に参加する機会が増えてきた。

当然、2ラウンドを終えたあたりで昼食をとることになる。


「今日は大会の時の昼食について話をしようか?」


A君は“つけ鴨”

私は“せいろ”と[[生粉打ちの]]“十割せいろ”2枚を注文。


本来、私は[[更科]]が好みである。

だが“K”の蕎麦は藪に近い、

しかし見事な蕎麦である。


キラキラと光っている、切り口の角が立っている、

そして、付け汁をつけなくても、美味しくいただける。

私流“美味い蕎麦三カ条”である。





「あるゴルフの[[コンペ]]で取材にきていた記者が、

選手たちが昼食を食べ残しているのをみて、

「このような大きな試合ではベテラン選手達も、

緊張のあまり昼食が喉を通らないようです」と報じた。


この記者はスポーツ、

とりわけ試合というものを全く理解していないと、嘲笑を買った。


クレー射撃でも昼食後の3ラウンド目をよく“魔の3ラウンド”という。


これは昼食を普段と同じ様にとると、消化に時間がかかる、


当然血液は胃に集中し、脳の働きはにぶくなる、

そこで3ラウンドをむかえれば当たらないのは至極当然の話」



「たしかに、お腹いっぱい食べたあとは眠くなるよね」



「今度、大会の時にこっそり、昼食をたいらげた人と残したひとの

スコアをくらべてみると面白いかもしれない」


「ウン、気をつけてみるよ」



でも空腹をかかえて、というのも勿論よくない。


食事後すぐに撃つ順番がくるのなら

スポーツドリンクかコーヒー一杯ですませるのが良い、

1 ,2 時間あくのなら消化の良いものを少し食べておくことがベスト。






追加した“せいろ”2枚、計4枚。

御馳走様でした。