日本て豊かなの?


 いつもなら板の間に敷布団と掛布団が一枚、

だが今日は敷布団が二枚と久し振りに毛布もある。


部屋の掃除だけで、

布団の上げ下ろしはしなくても良いといってあるのだが、

寝室の惨状?を見かねたらしい。

理由はともかく、

家の中に女性がいることはそれだけで、明るくなるものだ。

今は家政婦とは言わずにハウスキーパーと言うらしい。

「勝手のわからない余所の家の掃除は大変でしょうね?」

「はい、でも仕事ですから」

「時給はどのくらいなんですか?」

と、これは失態。


客の仁義として聞いてはいけないことである。

しまった、と思う間もなく

「○○円なんですよ」

その金額を聞いて驚いた。

私が派遣会社に支払う額よりもかなり低い。

無論、会社の経費、利益を差し引かねばならないのは当然だが、

それにしても…


「カミさんが退院するまで、しばらくお願いします」


「かしこまりました」


会社の教育が良いのか、

育ちのなせるワザか、

言葉使い、対応の物腰にソツがない




最近は建設現場の廃棄物の収集や、

仮設トイレの汲み取りといった仕事にも若い女性の姿が目立つ。

望んで就いた仕事とは思えない。


以前知り合ったガソリンスタンドに勤める女性は

日中でも氷点下の屋外で手袋をせずに作業にあたっている。

「お客さんに伝票を渡すときに失礼だから」

というキマリなのだそうだ。


共通するのは、所謂OLと呼ばれる女性達に比べ、

その労働は賃金も含めて過酷である。


今、日本は賃上げブームに沸いている。

だがそれは、大手上場企業であり

その下請け業者は相変わらず元請の利益確保のため

旧態依然である、

いや、むしろ厳しくなっているのが現状だろう。


好景気を示す経済指標は、

低所得層の賃金の様態はあまり反映されない。


彼女達がOLさん達と同等かそれ以上の賃金(福利厚生も含めて)

を保障され「ひとの嫌がる仕事で大変だけれど

それなりのお給料をもらっているから」と

労働に見合った対価を得られるようになったとき、

日本は『豊かになった』といえまいか。