モテるブスの方?必見《ブスが顰(ひそみ)に倣う》と?




『必見シリーズ』第3弾!



顰(ひそみ)に倣う

顰は“眉をひそめる”ってヤツですナ。


四字熟語《西施捧心(せいしほうしん)》の同義語ですナ。


西施は絶世の美女の名前。

紀元前5世紀の中国、春秋時代末期のおはなし。


越の国王 勾践(こうせん)が呉の国王 夫差(ふさ)に献上した美女達のなかに

西施というとんでもなく美しい女性がおりました。


クレオパトラ楊貴妃山本陽子浅田真央ちゃんとオードリーヘップバーンを

ミキサーに入れてかき混ぜたような美しさ、

と言えばおわかりいただけるでしょうか。


ただしこれは、勾践 が呉の国を滅ぼそうという

策謀だったというから、オドロキじゃありませんか。


策略は見事に功を奏し、夫差は西施にメロメロになり、

政治を放り出し、民衆のことを忘れ、

世界中から精力剤(マムシにハブにスッポン、オットセイのオチンチン、

高麗人参、にんにく卵黄、鰻のかば焼き、リポビタンD,ETC)

をかき集め、快楽に耽る日々が続きました。


上に立つ者がこれですから、

下々の民は、まともに働くヤツなんぞいません、

勤勉などと言う言葉はどこへやら。


結果、呉の国は弱体化し、

遂には越に滅ぼされてしまいました。




その西施には癪(しゃく)という持病がありました。

ある日、静養のために実家のある故郷に帰る途中、

癪の発作に見舞われました、


西施は胸に手を当て、

眉を顰めて苦しそうに歩いていました。


しかし、そこは絶世の美女、

これがまた憂いを含み、得も言われぬ美しさ。


村人、そして道行く人は皆、

我を忘れ、うっとりと見入るばかり。



これを見ていた村一番の、イヤ中国一のブスが、

何をトチ狂ったのか、

「ワダスも、あんなふうにして歩けば、キレイに見えるんだべな」と

胸をかきむしり、眉間にしわを寄せて村中を徘徊したからたまらない。

モトがモトだけに、筆舌に尽くしがたい形相。


それを見て、馬は駆け出す、子供は泣きだす、

ニワトリはタマゴを生まなくなるは、糠味噌は腐る、

魚は溺れて死んでしまうは、カラスは驚いて空から落っこちてくる、

驚天動地、阿鼻叫喚、歩行者優先、神社仏閣、

村中は大変な騒ぎ。


村人は家へ逃げ帰り、戸にカギをかけ、

息を殺してブスの通り過ぎるのを待った。



このように、安易に人真似をすると、

失笑を買うことの戒めと、

賢人の教えに倣うとき、自分を謙遜することを言うんだそうですヨ。



知っていても一文の得にもならないお・は・な・し。


その後の西施


呉の国が滅びたあとの西施の消息は知られていませんが、一説によると、

勾践夫人が彼女の美貌を恐れ、自分の夫も二の舞にならないよう、

生きたまま袋に入れて長江(先日、フェリーがひっくり返った川ですね)に

投げ捨てたといわれています。

その後、長江で蛤の大漁が続いたので、

人々は西施の舌だというようになりました。

以後、中国では蛤を“西施の舌”と呼ぶようになりましたとさ。