【 声相 】！？

　人の内面を外見から推し量ろうと言うのが、

人相、手相、骨相。

声からそれを知ろうとする“声相”。

嬉しいことがあったときの、明るく、弾んだ声。

辛く悲しいことがあったときの、重く、沈んだ声。

心の奥底の悩みや不安、

声もまた如実にそのひとの内面を映し出す。

何年か前、見るからに清楚な少女が歌手としてデビューした。

“清純さ”を売り物にしたその少女の

ステージではない場所での声を聞いた時、

そのキャッチフレーズとは裏腹に放縦な気性を感じた。

週刊誌が彼女の“華やかな異性遍歴”を暴露したのは、

それから一年ほど後であった。

友人が考えられない事件に遭遇した。

本来彼女を護らなければならない相手から

あらぬ行為を受けたのである。

頭が良いだけではない、気丈な女性である。

いつもは実際の年齢よりも、4〜５歳は若くみえるのだが…

しかし、やはり憔悴の跡が双眸の奥に見え隠れする。

そして明らかに“声相”がいつもと違う。

まぶしい朝陽を受けた葉の上を滑らかに転がる朝露のような、

いつも私の心を心地良いものにしてくれる

明るく、透明感のある声ではない。

その“変わりよう”は自分でも気がついていないかも知れない。

無理もない。

身も心も疲れているのだろう。

彼女は普通の友人ではない。

私を最も理解してくれる大切な私の宝物である。

大事に護ってきた宝物を傷つけられた怒りと、

受け容れることのできない事実は,

確実に私の心身にも異変を及ぼした。

不謹慎な言い方をすれば、

いっそ、その行為が私の目の前で起きてくれれば良かったのかも知れない。

いまわしい出来事が、

“感覚”として残っている今はそっとしておいたほうが良い。

聞きたいことは数多ある、

だが、今それを聞けば、辛い出来事を思い出すに違いない。

一日も早くコルセットがとれるよう、

今は先ず身体の怪我を治すこと、

それから心の傷を癒やそう、

そうすれば、

また、あの“天使の声”が戻ってくるに違いない。

ＡｎｇｅｌVｏｉｃｅ　Ａｇａｉｎ！