あなたは生涯“自分の声”を聞くことができない。
あなたは自分の声を聞いたことがありますか?
「録音したのを聞いたことがあるけど、
最初、自分の声だとは思わなかったよ」
こんな経験は皆さんも一度くらいはあるのではないでしょうか。
ことほど左様に喋っているとき自分に聞こえている声と
他人が聞いているあなたの声は違うものなんです。
面白いのは、録音再生した自分の声を聞いて、
ほとんどの人が、
「思ったよりいい声だった」よりも、
「え〜、こんな声だったの」と言う人の方が多いことです。
他人が聞いているあなたの声は、
空気の振動で伝わる〈気導音〉と言われるものです。
そして、あなたが聞いている自分の声は、
それに〈骨伝導音=自分の発した声が頭蓋骨の振動を伴って直接耳に聴こえてくる〉
が加わったものです。
つまり他人に聞こえている、あなたの肉声と言うものは
自分では、今までも聞いたことが無いし、
これからも聞くことは不可能なのです。
仮に超高級オーディオ機器で録音し、再生したところで
マイクで電気信号に変換されスピーカーのコーン紙が
振動して聴こえてくる“音”は
極めてあなたの声に“近い”だけなのです。
聴力が無くても“音”を聴くことはできます。
聴力を失ってからも作曲を続けたベートーベンの話は有名ですが、
彼は口にくわえたタクトをピアノに押し付け、
ピアノ⇒タクト⇒歯⇒頭蓋骨⇒耳への骨伝導音を聞いていたのです。
あなたに嬉しいこと、悲しいことがあった時、
あなたが発する声は
自分で聞く声では気付かなくても、
他人があなたの声を聞いた時、
それは必ず反映されているのです。