クレー射撃上達虎の巻 §4  《夢》 


射友Aさんが病を得た。


幸い発見が早かったため、

手術でことなきを得たが、


驚いたのは、退院後二週間ほどで射場に姿を現したことだ。


聞けば、《夢》は全国大会に出場することだという。


そのために競技組織にも入り、練習に励んでいる。


その“夢”が心の支えとなり、


病に打ち勝つことができたと述懐した。



何回か一緒に撃つうちにアドバイスを請われるようになった、


同時に私はその類い稀な資質に気付いた。


然し、すでに私は“競う射撃”から“楽しむ射撃”になっている。

勿論、競技組織も退いている。


かつては国体強化選手にと推されたこともあったが、

(当時推してくれた先輩達はすでに鬼籍に入られた)


若い時分である、

時間と経済的な余裕がなく、その夢は潰えた。



ひょっとするとAさんなら、自分の果たせなかった夢も叶えてくれるかもしれない。


それと、もうひとつ私の心を動かしたものがある。


Aさんと同じ病で長い間闘病を続けている人、

或いは後遺症に悩む人も少なくない。


もしAさんが全国大会出場と言う“偉業”を成し遂げれば、

同じ病と闘っている人達に大きな希望と勇気を与えることができるのではないか。




「わかった、その代りひとつ条件がある、

これから競技組織のなかでいろいろとコーチをしてくれる人がいると思うけれど、

(なかには“教え魔”といわれる人種がいるが、これは論外)

その人達には他にアドバイスをしてくれる者(つまり私)がいることを

絶対に言ってはいけない、他に同じ存在の者がいるとわかればその人の好意を

傷付けることになる」


本来、コーチは一人であるべきなのだ。


「もし、“その撃ち方はどうやって覚えたの?”と聞かれたら

“本やDVDで”と答えること」


「了解!」





そういえば、首と脊髄の手術をした後も、

公式大会で活躍をしている猛者がいる。



《夢》は病魔を駆逐するものらしい。






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