クレー射撃上達 虎の巻§3  《引き金》

 
Aさんがクレー射撃を始めて2シーズンが終わろうとしている。

驚くほどの速さで上達をしている。


「今日は銃の引き金の話をしよう」


「は〜い」




「コールをする時、当然引き金に指をかけているが

引き金を引いているかな?」


「エッ、弾が出ちゃう」


「これは初心者はやってはいけないことだけれどスコアが

8割に届くようになったら憶えておいたほうがいいだろう、

引き金に指が触れてから軽く動くストロークはわかるね?」


「遊びっていうヤツでしょ?」


「そう、そのあと重くなって撃鉄が落ちる、つまり発射、

この遊びの分を予め引いておく、

これは何を意味するかと言うと、どんな人でも、

目が目標を捉え、脳が発射の指令を出して指が動くまでには

0.1秒前後かかる、それに遊びのストロークを動かす時間がプラスされれば

その分、クレーの先を撃たなければならない、

最近のクレーはスピードが速くなっている、

それに装弾の量も少なくなっている、つまり、狙い越しを少なくし、

より早くクレーを割る必要がある、

そのためには、より短い時間で弾を発射させること」


「タイムラグは少ない方がいいってコト?


だったら、コイルスプリングよりも、松葉バネのほうが有利ってコトかなァ?」


「理論的にはそう言える、しかし仮に松葉バネのほうが

コイルスプリングより、数百分の1秒タイムラグ(ロックタイム)が短いといっても、

神経の伝播速度は、たとえ訓練を重ねても短くするのは不可能だ,

それがどの程度スコアに影響を与えるかは俺にはわからない。


それよりも、感覚的な“キレ”の良さでは、

コイルスプリングに一日の長があるかもしれない。

でもイタリアB社のコイルスプリングなどは、若しそれを知らされていなかったら

松葉バネとの違いを体感できないほど素晴らしい“キレ”をもっている。




この方法を会得することで、“ここで引き金をひけ”と命じてから、

弾が発射されるまでの時間を最短にすることができる、

(言うまでもなく、それをゼロにすることはムリでも)


そうすると、

引き金を引いた瞬間にクレーが割れる、と言う感覚が体験できると思うヨ」


「うん、やってみる」


「くれぐれも暴発には気を付けること」


「は〜い」