私、♡?

 



「今日、逢える?」

友人からのメールである。


折り返し電話をかける。



「大丈夫だよ、メシでも食べようか」

丁度仕事も一区切りついたので車を1時間程走らせる。


夕食には少し早いし、コーヒーでも飲むか。

近所の喫茶店に入り窓際の席についた彼女はほどなく

「私、結婚することにしたの」と切り出した。

あるサークルで知り合った男性だと言う。

「ああ、ブログに書いてあった人だろ」

「うん、それでトントン拍子に話が進んで、来週彼の親のところに行ってくるの、

アライグマのラスカルみたいな人

しばしラスカルのオノロケが続いた。


「これでお嫁にいけるか、よかったね」



複雑な気持ちではある。



早く相応しい人が現れて幸せになって欲しい気持ちと、

いつまでも楽しい時間を過ごしたいという気持ちのせめぎあい。


だがそれは妻子ある男の身勝手である、



少し淋しい気もするが、いつか来ることなのだ。




それにしても、

今まで楽しい時間を過ごしてくれた彼女に対する

感謝の言葉がみつからない。




ひとつ気になるのは、自分の意思とは関係なく、時折訪れる、

いままで外れたことのない“直感”が胸をよぎったこと。

それが杞憂であることを願う。


それとは別に、もうひとつ気懸りなことがある。

聡明な彼女にしては理解に苦しむことなのだが、

あるコミュニティサイトで、

女性としては決して書いてはいけない

“カキコミ”をしてしまったことである。

自分が、もし恋人の立場であったら、

多分諭して,いや叱っていたかも知れない。


あるいは彼女に陰ながら思いを寄せる者がいたとしたら、

許し難いことであったかも知れない。


だが、それは

幸せの坂を上っている今の彼女に伝えることではない。



「ありがとう、幸せになるんだよ」と祈る。